Market Segmentation手法とは

Rodolphe Jacson 氏に製品計画とMarket Segmentation手法について独自の見解をお話しいただきました。


自己紹介をしていただけますか?

東京を拠点とする日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社(以降JCH)でグローバルプロダクトマネジメントディレクターとして活動しております。

JCHは、住宅用エアコン(RAC)、小規模商業施設向けのパッケージエアコン(PAC)、および商業ビル向けのマルチエアコン(VRF)システムを提供しています。 また、チラー、コンプレッサー、IoT接続製品も提供しています。

私達の部門の業務は市場傾向の分析を行い、当社の考える製品戦略を反映した製品ロードマップを各地域拠点と協同構築することです。 ロードマップを構築した後、私達はお客様や販売チャネルの期待に応えると同時に、当社目標達成に向け、部門横断チーム(エンジニアリング、調達、製造、販売)を中心に製品を開発します。 それ故に、グローバル製品開発部門は、企業成長における動力と例えられます。


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どのように市場ニーズを製品開発に関連付けられたのでしょうか?

JCHでは製品開発ロードマップ作成の為、顧客ニーズや市場トレンド情報を収集します。3年から5年のロードマップがありますが、エネルギー効率、冷媒や安全面などに関する技術革新や法規制の変更により、計画の変更を強いられます。

現在注目されているものから一例挙げるとすると、製品内で使用する冷媒です。現在進行中の法規制変更内容からすると、短期間のうちに影響を及ぼす恐れがある為、様々なシナリオを備えなければなりません。 これは57年間、共通プラットフォームで製品開発ができる自動車産業とは異なります。 私達のビジネスは、テレビなどの白物家電市場のように、よりダイナミックである為、ほぼ毎年新しい製品を市場に展開することが求められます。

私達の役割は、製品開発初期段階において市場ニーズに基づいた製品ビジョン、市場ポジション、市場販売価格や製品要求仕様などを製品開発に携わる技術メンバーに伝えることです。

 

今回Modular Managementに依頼をされた背景を教えていただけますか?

Modular Management社とともに活動を行うことは、JCHでのモジュラー化を実装するための基本的なパッケージとして考えられています。このモジュラー化パッケージは、(Modular ManagementではJourney“旅路と表現していますが)市場要件と顧客ニーズを理解することから始まり、次にModular Function Deployment  MFD)手法を用いた製品アーキテクチャ構築へと進んでいきます。 

これまでは技術が主導する取り組みになりがちであったため、Market Segmentationのアプローチは有益に感じました。なぜなら、ほとんどのケースで技術視点の検討から始まり、製品企画へと進められます。プロジェクト成果の良し悪しに関わらず、あまりにテクノロジーや製品機能に重点をおいた製品企画をすることはエンドユーザー視点の欠如というリスクをはらんでいるからです。 

顧客ニーズは製品企画の中心に位置付けられ、常に「本当に製品に求められていることは何なのか?」と問いかけながら検討することが求められます。これを実現するためには、製品に求める要求内容/レベルが近い顧客をまとめたセグメントを定義させ明らかにすることです。

 

結果はどうでしたか?

成功を収めることができました。

まず私達は、人は何を考えエアコン購入に至るのか、まさに購入の初期段階から分析を開始しました。顧客が製品に何を望んでいるのか、そこを起点にクラスター手法を用いていくつかのグループセグメントを定義し、各セグメントが重要と考える内容に基づいて、製品が求められている価値について整理を行いました。各セグメントは、製品に対して価値を感じる内容が異なっており、それぞれが求める製品開発が必要となります。

私達はこの方法論をもとにして最終的に6つのセグメントを定義しました。そして、これらのセグメントによって、マーケティング分析データと統計に基づいて、市場規模を再評価することができました。

 

主にどのような課題を抱えていましたか?

主な課題は、エンドユーザーのセグメント(顧客集団)に焦点を当て、エンドユーザーのニーズをもとにした製品開発や企画を行うことです。私達のビジネスは主に専門業者となる販売チャネルを介して行われますが、やはりエンドユーザーに焦点を当てることが重要です。

例えば、このことをホテルを例にとって説明しますと、

弊社はエアコンを販売店や請負業者に販売していますが、その販売店はホテルチェーンにエアコンを販売・設置しています。この販売店チャネルにとっては、納期厳守、製品の選択のしやすさ、設置や試運転が非常に重要になることはわかっています。しかし、ホテルのオーナーは、省エネ、操作のしやすさ、あるいはユーザー体験により重きを置くでしょう。

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MARKET SEGMENTATIONと製品企画手法

Market Segmentationにどのようなメリットを感じましたか?

 一つ目のメリットは、どのようなセグメントがあるのかを構造化して明確にし、それにどのようにアプローチしていくべきかを明確にできることです。

また、セグメントがどの地域にも存在するということに気づきました。以前はより分断された地域に焦点を当て、ある国のお客様は独自のニーズを持っていると考えていました。これは事実かもしれませんが、だからといって、あるセグメントが別の国や地域に存在しないということではありません。実際には、セグメントの規模や市場価値は違っても、セグメント自体はおそらく存在します。

例えば、自家用エアコン検討に時間をかけて吟味されるようなセグメント“計画性のあるヘビーユーザー”を例に考えてみましょう。このセグメントは、特定の地域では多くの販売量を見込めるかもしれません。特に日本のような国では多いセグメントですが、他の地域で考えた場合は異なります。しかし、はっきり言えることはどの国にも計画性のあるヘビーユーザーはいるということです。

 二つ目のメリットは、あるセグメントで当社が過小評価されているのか、あるいは過大評価されているのかを把握できることです。分析を通して、世界市場は660億ドルの価値があると分かりました。各セグメントはそのうちのシェアを表しており、実際の売上高を各セグメントに当てはめると、どこに力を入れすぎているのか、あるいは足りていないのかが分かります。このような情報を知らないと無意識のうちにセグメントをあきらめる結果となりますが、把握できていると、適切な対処が出来るようになります。

 三つ目のメリットは、製品ポートフォリオ(RACPACVRF)が全て同じ顧客メリットに目を向けた協調性のある製品開発ができることです。地域と製品ポートフォリオの両方で省エネの相対的な重要性などの知見を適用することは非常に有益です。また、普段は別々に仕事をしているチームをまとめ、全員が同じ顧客メリットに向けた取り組みをすることも良い結果を生むことにつながります。

 

何か苦労された点があったとお聞きしましたが?

 ず手法は優れており、問題はありませんでした。

 プロジェクトで苦労したことの中に、このような事象がありました。それはセグメント(顧客市場)ごとにペルソナ(顧客情報)の区分けを定義することでした。なぜなら、ペルソナの最終的な定義内容はあらゆる角度からの情報がカバーされており、それを分かりやすくする必要があったからです。

最終的には、顧客ペルソナの定義を専門家であるマーケティングチームと外部に委託しました。顧客ペルソナは重要であり、社内コミュニケーションのためには綿密に調整された文書が必要ですが、私達はそのための専門的な知識は持っていませんでした。

 

 この取り組みを通じて、御社にとっての大きな収穫はなんでしょうか?

 顧客中心という部分が真のメリットであるということです。

 現在私達は、競合他社との比較や機能面のギャップに加えて、現在の状況をベンチマークするためにCustomer CanvasMarket Segmentationの成果物)を用いています。つまり私達は、エンドユーザーが考える製品価値や製品についてどのような意見を持っているのかを中心に考えるようにしています。たとえ会社としてモジュラー化を進めていなかったとしても、私はこの手法をチームで活用していたと思います。

 

Rodolpheさん、ご協力いただき誠にありがとうございました。